PDF編集アプリ:今PDFアプリで最先端を行っているのはNotability8.0ではないか。

さて。メタ編集ツールであるPDF編集アプリの話です。

元々このジャンルのアプリでできることといえばPDFファイルの閲覧でした。今もPDFといえば書類を閲覧するのが主な用途ですが、注釈やコメントを付けるといっても、それは閲覧のついでであり、厳密にはPDFそのものを編集するわけでも何でもありません。

それというのも、印刷業界などで利用されることが多かったPDFファイルは、すでに印刷物になる一歩手前、または印刷物をスキャンした、つまり書類として完成したものが多かったので、ワープロやページレイアウトアプリのように、PDF編集アプリで一から書類を作る必要はありませんでした。

 

そのアプリの用途がPDF閲覧から、曲がりなりにも「PDF編集」などと呼ばれるようになったのは、元の印刷物につける注釈やコメントの中身(またはアプリの機能)が向上して、PDFを編集する機会と量が増えたからでしょう。PDF編集アプリの登場で、注釈やコメントが元の書類から一人歩きするようになってきたわけです。

 

そもそも印刷物の校正作業は、その印刷物の内容に修正する個所がないかしたり確認するためであり、PDFには注釈やコメントが印刷物を校正するためにつけられます。一方、ワープロで作成した書類を持ち歩くためにPDFにした場合は、PDFから新しいアイディアが生まれれば、そこから書類を書き直したりすることも多々あります。

そんな印刷物の校正以外でもPDF利用される機会が増えてきたのは、いつからということになれば、やはりスマフォやタブレットが使われるようになってからといえるでしょう。

 

今でこそ、WordやExcelを使えるiPadですが、当初はこれらの書類を持ち歩くために、閲覧用にPDFに変換して、iPadにコピーされるだけでした。だから利用されるアプリもPDFを閲覧したり、閲覧の際に注釈やコメントが付けられればよいくらいであり、iPad用のPDF閲覧アプリはどんぐりの背比べみたいでした。それでも、PDF閲覧アプリも、iOSがアップデートされていくに連れ、iOSだけでPDFが作成できたり、iPadiCloud Driveの中のファイル管理できるようになっていくに連れても、いろいろと多機能になり利便性が増していました。

 

中でも、iPadでPDFを閲覧するときに便利なのが、画面を分割できる機能です。それまで大きなiPhone扱いであったiPadでPDFを見る利点は、ほぼその画面の大きさだけでしたが、iPad Proの登場と共に画面を分割できる機能が利用できるようになると、タブレットで書類を閲覧する作業の意味が違ってきます。

 

ただ画面分割できるだけで、何をそんなに大騒ぎしているのだと思われるかもしれませんが、iPadで画面分割ができなかった頃は、画面に表示できるのは1つのアプリだけでしたから、閲覧用のアプリを使っているときは閲覧だけしかできません。もしくは閲覧しながら注釈やコメントを付けるくらいしかできませんでした。それが画面分割ができるようになると、閲覧する画面とは別のもう1つの画面で別のアプリを表示することができます。すると単に注釈やコメントを付けるだけでなく、ブラウザを起動してネット接続して内容チェックができます。また、PDFを作成したワープロやエディタなどを起動して、注釈やコメントを付けるだけでなく、元の原稿を修正することもできるかもしれません。もう1つの画面に別のアプリを起動できるようになったので、単にPDFを閲覧するだけのアプリではなく、多機能で便利なPDF編集アプリの登場が待たれます。

 

そんなアプリとして、私が今一番紹介したいのは、最新版が登場したばかりの「Notability8.0」です。2018年に発売されたiPadでは、ついにiPad ProでなくてもApple Pencilが利用できるようになっただけでなく、画面分割もできるようになったのですが、iOS11で画面分割をするには、もう1つ別のPDFアプリを起動しなければなりません。また画面分割して閲覧するPDFも、別のアプリに共有するなどして、複製を作らないといけないのですが、Notability ならば1つのアプリの中で画面分割して、片方で閲覧、もう一方でPDFで作業ができます。

 

こんな感じで、『iPadをパソコンみたいに使うときに読む本・上  キーボード・ファイル管理編』(私的には iPad読本 )の下巻では、iPadでPDFファイルをどう利用するか、という話になる予定です。


● 『iPadをパソコンみたいに使うときに読む本・上  キーボード・ファイル管理編

 

 

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