アウトライン:アウトライナーだけがアウトラインプロセッサではないのです。〜iA Writer

腐れ縁だった iA Writer Classic がiPhoneで起動しなくなったので、iOS版 iAWriter を買い直しました。600円なり。
iAWriter Classic は64ビット対応はしたけど、古いアプリなのでもう AppStore では見つからないし、iPhoneで起動しなくなったけど iPadでは動いたりするから様子見していたのですが、暑くてついつい気が短くなってしまった。まあ時間の問題だったのかもしれません。

Mac版は考え中です。Mac版 iA Writer Classicは何とか動いている(図1)し、Mac にはMarkdownで記述できるエディタがほかにもあるので、あまり使わないのに3600円を支出するのはどうかな、と。

 

●図1:Mac版 iA Writer Classicは何とか動いている

●Mac版 iA Writer Classicは何とか動いている(図1)

 Mac版はユーザー少ないからこの値段なのでしょうけど。昔から高いアプリの値段はそう理由付けされていますが、本数が売れたから値段が下がったという話はあまり聞きません。値段が下がるのは、ズバリ製品間で価格競争が起きた時だけです。ところが、アプリを選ぶというのは、何でもできる汎用性だけでなく、自分だけのかゆいところに手が届く問題解決がポイントということもあるので、数が売れるかどうか微妙な商品です。

 そんなアプリ業界で、iOSがすごかったのはアプリの価格破壊を行ったことですが、それでiPhoneにあれだけ数多くの「自分だけのかゆいところに手が届く」的なアプリが登場したのは驚くべきことでした。それにしても単価が下がった分の本数は売れているのでしょうか。まあ、iA Writerの開発元も存続しているということは、途中紆余曲折ありましたが、何とかやっているということなのでしょう。

 アイディアを繰り返し利用できるかどうかが知識産業の妙味ですが、それこそ知恵の使い所かもしれません(アプリの開発力とは別なのかもしれませんが)。

 

 自分が iA Writer を使い始めたのは、何といっても「フォーカスモード」 があるからで、最初に購入したのはMac版でした。本当にフォーカスモードだと執筆が捗るかどうかは、長年使っていても不明ですが、アウトラインと同じく、これがないと書く作業が止まってしまう気もします。それもあって、MaciPhoneが連携するようになってから、iPhoneでも使いたいとiOS版を購入したのですけど、実際に「フォーカスモード」が生かすには、複数の段落が表示されないと意味がないので、ある程度の画面の大きさが必要でした。

 その結果、画面の小さなiPhoneでは単なるテキストエディタとなってしまい、しばらくは他のエディタに埋もれてしまっていたのですが、iOS版を重宝に思うようになったのは Markdownで記述するようになってからでした。

 

●図2:フォーカスモードが iA Writerのアイデンティティ

 ●図2:フォーカスモードが iA Writerのアイデンティティ

 いろいろなアウトライナーを試していますが、結局は見出しと本文の関係が基本なので、iA Writer でMarkdown記述はアウトラインそのものなのです。執筆または編集している段落を「フォーカスモード」で表示できるテキストエディタは、Markdown記述と組み合わせれば、無敵のアウトラインプロセッサになります。
 それ以上の機能は、私の場合は iA Writer にとくに必要なかったので、数年前の高機能路線に私は参加しませんでした。そして他のテキストエディタやらMicrosoft Word御大がiPadで使えるようになったりと、ふらふらしているうちに、結局iA Writer の方が元の位置に戻ってきたような感じです。

 最近は Mac用では  OutlineText というMarkdown対応の強力なアウトライナーを見つけて喜んでいるところで、今回のiA Writerも実はOutlineText のために買い直したという感じもします(ちなみに このスグレもの OutlineText は無料)。

OutlineText | HiBARA Software

使える。 #outliner「このアウトライン付きテキストエディターでは、全体の文章構造を理解しながら書いていくような、 主に以下の用途に向いています。ブログ、ビジネス文書、あるいは論文や小説など文章の下書き

2018/07/15 11:20

 
 さて、現在のiA Writer には iCloud 以外に「ライブラリ」というファイル管理の仕組みがある。エディタ系はなぜか iCloudDrive で使いにくかったりするので、それを考慮しているのだと思うけど便利かどうかはまだ不明な機能。
 編集中の下部アイコンは4つ。左端と1つ飛ばしたアイコンで「検索」と「共有」というiOS老舗テキストエディタとして必要十分な機能に簡単にアクセスできる。

 左端から2個目のアイコンは「設定」。「エディタ設定」と「テンプレート設定」の2つがあり、このエディタのアイデンティティな「フォーカスモード」は「エディタ設定」でオン。一番右端のアイコンは「新規作成」。

 あと、iAWriter をMarkdownで使い回す時は、アプリの設定は「ライブラリ」のところで表示される歯車マークの「設定」−「ファイル」でテキストファイルの拡張子を.md にしておく。

 

たった600円で最新版のiA Writer がまた使えるようになって、猛暑の7月の三連休少しハッピーです。

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PDFと手書き:仕事の中に「手書き」を楽しむワークフローを見つけよう。

「絵が描けない」と愚痴っていたら、イラストを専門にしている人から「それは描く必要がないから」と軽く言い放たれたことがあるのですが、たしかに素人のお絵かきの問題はそこにあると思うけど、素人でも素人なりに描ける環境や道具があれば話は違うと思うのです。そんな環境や道具あれば誰にでも絵が描ける!というのとはちょっと違うのですが、求めよさらば与えられんということでしょうか。
そういう環境や道具を探している人は、私も含めて割りと多いような気がします。ただし、効率だけを考えていると既存のワークフローからはみ出すことはできない。そこで、既存の枠組みには収まらない新しい道具を組み合わせて、新しいワークフローとして確立できたら面白いと思います。たぶん、最初は専門家には受け入れられない方法になるでしょうけど。そう、私の場合はiPadならねってことで、笑。

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手書きには練習が必要。そんな練習も下書きを本からiPadに取り込んで始める。下書きは『新15分スケッチ練習帖【基礎ドリル編】』山田雅夫・著(あさ出版)からスキャン。

 

■ 効率重視のパソコンとは相性が悪い手書き

パソコンを使うようになってからは、しばらく手書きとはさよならをしていました。それというのもまず自分の悪筆が嫌でしたし、書き損じたら最初から書き直さないといけないという手書きの効率の悪さも気になりました。

手書きの効率の悪さといえば、文章を書く途中で当然書き間違える可能性があります。書き間違えたら書き直さなければなりませんが、手書きではこれが面倒くさい。きちんと下書きをして、それを書き直すという物を書くワークフローができている人ならいざ知らず、私のように唐突に書き始めるタイプの人間は、書き直しながら書くようなものです。だから、書き間違いを直すのも効率良く行いたい思いますが、手書きは書いたり消したりが大変にはじまり、きれいに消せない→直した後が汚い→読み返すのが大変、と良いところが何もなかったりします。

ただ、試しに書いてみるというのは、頭の中にあるモヤモヤしたものを形にするには大切な作業です。でも手書きで紙に書いておいたら紛失するかもしれません。また紛失しなくても紙に書いた下書きは、文章を書き上げた時にはゴミになります。そこで、下書きから手書きでなくパソコンを使っていたら、紛失したりゴミになる心配はなくなります。
とにかく私の書き方は、書き直しながら書くといってもいいほどなので、まず、パソコン編集のアンドゥ(取り消し)ができるのは有り難いことです。これは一度書いたものをたった1つのショートカットで消してしまい、なかったことにできます。当然、簡単に消せることは危ないことでもあるので、それを元に戻す(リデゥ)こともできます。さらにコピぺ(複製)が容易にできます。書き直している途中で全部捨てて、保存しておいた書類からやり直しこともできます。または、一時的に書いたものを保存しておいて、後から再編集・再利用することもできます。

何といっても、手書きと違ってパソコンで作った書類は、1度作れば何度でも再利用できます。この書類を再利用するときに登場するのが「プリンター」です。プリンターは一時はパソコンとは切っても切れない周辺機器であり、パソコンで作った書類は紙に印刷することで、いわば実体のある書類になります。プリンターはパソコンをコピー機に変え、書類作成のワークフローを確立しました。
パソコンとプリンターが確立した書類作成のワークフローは、そのままキーボードの普及といってもいいので、パソコンで書くようになってからは、もうプライベート以外では、手書きは使わなくなるのではないか、などと私も思うほどでした。それにパソコンで作った書類は、データ(主に再利用できるのはテキストデータ)にもなっているので、パソコンで電子的に編集して、紙に印刷する以外にも利用できます。

 

Palm体験で学んだこと

そんな感じで、私の場合はパソコンを使えば使うほど、手書きの出番は少なくなっていきました。作業の効率だけを考えれば、手書きはキーボードを使うパソコンと比べるまでもありません。ただし、そんなパソコン一辺倒の書類作成に一石を投じたのが、2000年代初頭に起きたPDAブームでした。Palmを使うと、一度手書きを捨てた人間でもパソコンの前に座らなくても、どこでも文章が書ける解放感がありました。また、Palm には Grafftti という手書き認識が用意されていて、これには私もかなり萌えました。手書きのGrafftti は書くことが楽しく、書いた文章はテキストデータになるわけで、これは新しい手書きでした。相変わらず手書きは、キーボードを打つよりは効率が良くはありませんが、Graffttiはゼロから物を書くという感じが楽しかったのでした。

また、英字しか入力できない Grafftti でも、ローマ字入力でけっこう日本語を書くのにも使えるのにも驚き、さらに Grafftti の描き方の癖に慣れるにしたがって、手書き入力を認識率が良くなっていくのにも驚きました。パソコンを使っていると、辞書を鍛えるなどと称して、新しい入力方法の良し悪しやキーボードの使い勝手などにこだわりましたが、実際には文章は文字を書かないことには先には進まない。それには書くべし書くべしというのが、 Grafftti の哲学のような気がしました。
誰が使っても容易に文字が入力できるというのが、これからの人工知能時代の優れたソフトウェアなのかもしれませんが(そして多くの利用者はそれを望んでいますが)、 Grafftti は使いこなすのに小学生が文字を習うように練習が必要でした。ただし、練習することで確実に文字を入力する作業効率が上がるので面白く、書くことが楽しかったのでした。 Grafftti はとくに利用者の癖を学習するわけでもなく、利用者が操作に慣れるのに従って認識率が向上するので、ある意味で完成した入力方法といえました。もしも人工知能時代に Grafftti を発展があるとしたら、作業効率が向上するだけでなく、使う側の人間の経験値に応じてそれを補佐していくソフトウェアなのではないでしょうが、私は変わらない Graffttiのままでも良い気もします。

ただ、Palm の流行が去ると Grafftti が使えるPalmも互換機もなくなってしまい、やはりもう手書きをすることはないかもとも思いました。それでも、Palmに代表される PDA というデバイスが登場しなかったら、今iPadを手書きで使っている自分の創意工夫も違っていたような気がします。そのくらい道具を使うことによって人の意識というのは変わるもの、というのもPalm体験があるからそういえるのだと思います。
パソコンの中の情報を紙に印刷するのにプリンタは利用されますが、必ずしも紙に印刷しなくてもPDAがあれば、外に持ち出せる、外でメモが書けるというのは、実はiPhoneを使うときにも思っていますが、このiPhone=印刷した紙の代わり、というのもこのときのPalm体験のおかげだと思っています。

Grafftti では手書きでアルファベットしか入力できなかったので、そのアルファベットをローマ字入力したわけですが、その時から日本語っていろいろ厄介な言葉だと思いながらも、自分が物を考える時にはやはり日本語しかないのだなと思い、改めてQWERTY配列のキーボードとローマ字入力に向き合うことになりました。そこでローマ字入力のまま親指シフトにいかなかった理由は簡単で、iPhoneiPadでは親指シフトが使えなかったからでした。

Grafftti が表舞台から去ってからしばらくして登場したiPhoneiPadは、最初は外付けキーボードから日本語を入力するのにも変な癖があったりしたのですが、そこがかえって新鮮でした。そんな私でしたが、今ではiPadとApplePencilで手書きを再び始めています。その理由が、最近になって人に物事を説明する仕事が増えたことも理由でした。

 

■ 仕事の中にも「手書き」を楽しめるワークフローがある

以前の私は書いたり編集するのが主な仕事でしたが、人に説明する仕事は、口頭で行われ手書きで説明しなければならなかったりします。そんなところに、ApplePencilが利用できるiPad Proが登場して、私にとっては渡りに船でした。
臨機応変に説明する場にキーボードはあり得ないし、そうかと言ってその場しのぎで出たところ勝負というわけにもいかないので、それなりに事前にプリントアウトなどを用意しなければならない。ただし、いくらプリントを準備をしても相手があることなので、その場で修正がないわけはなく、その修正は次の説明に利用できるので、何としても記録して次回につなげていかなければなりません。

人に説明するにも印刷物を用意してそれを配布して説明する、というのがひと通りの流れなのですが、相手によって説明の仕方も変わるし、場合によっては印刷物をその都度修正していかなければならない。印刷物を作ってそれで終わり、というような話は説明する仕事ではあり得ません。
人によってはパソコンで作る印刷物をプレゼンテーションアプリに置き換えて対応したりしていましたが、印刷物を作るワークフローとプレゼンテーションをするワークフローは異なります。パソコンやタブレットの画面を大型モニタに映し出したにしてもそれは同じだと思います。この2つのワークフローを説明する仕事の中で統合しなければなりません。
私にとって、この人に説明する仕事の中の2つのワークフローを統合するポイントは手書きでした。運良くApplePencilで手書きが実用レベルになったところだったので、これに挑戦することにしました。iPadをいろいろ試して気づいたのは、これはワープロだけでもプレゼンテーションアプリだけでもだめなことでした。それというのも、ワープロもプレゼンテーションアプリもそれぞれのワークフローで使うコンテンツを編集作業をするものでしかく、現場でそれを人に説明するには、これらのコンテンツを統合する「メタ編集」が必要だからです。そのためには、iPadを新しい電子の紙やノートとして利用しなければなりません。

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PDFメタ編集 :今風のPDFのメタ編集はこんな感じです。

閲覧ツールから編集ツールへ変わったPDFツール。そんな編集を「メタ編集」と呼ぼうと決めたわけですが、実際にどの辺がメタ編集なのか。最近その材料が揃ってきたので、ここでちょっと整理してみようかと思います。

まず、ワープロやエディタは書類を一から作り上げるアプリです。その点、メタ編集は「メタ」なので、書類を一から作るわけではありません。PDFはワープロやエディタで作成した書類から作成するので、メタ編集向きな書類といえます。この他、メタ編集できるといえばHTML(というかXMLなど)などがあるでしょうか。電子書籍EPUBもこの仲間ですね。

Wordそのもので書類を作成するときには、原稿の内容がより伝わりやすいように図版を挿入したり、印刷した場合に見開きになるようにページレイアウトを考えたりしますが、さらにスタイルを使って、文章と段落、セクションとドキュメントなどと、書類の構成を考えて原稿を整理したりもします。文章の構成を考えはじめたら、もはやそれは単なる書類の編集でなく、メタ編集といえるでしょう。メタ編集は、書類の内容を超えた、書類をどう見せるかということでもあるからです。

別に普通のワープロでもエディタでも編集すれば同じじゃないか、と思われるかもしれませんが、メタ編集で取り扱われるのはメタ情報であるところがポイントです。HTMLであればリンク情報やスタイルシートなどの情報ですが、リンク情報はAとBという情報を関連付けて、Cという新しいアイディアや関連情報を引き出したりします。これがメタ情報です。

電子書籍の場合、Wordで書いた原稿に見出しと本文などを指定し、 Romancer や でんでんコンバータ で本の形になるように書式を設定するのも「メタ編集」です。メタ編集してあると、EPUBなどに変換しやすくなりますが、それというのも、HTMLやEPUBのような書類は「構造化した書類」なので、すでにメタ編集が済んだ書類にほかならないのです。

 

「構造化した書類」というと何やら難しそうな気もします。ただ、わかりやすい文章というのは、1つ1つの文がわかりやすいだけでなく、前後の文章の起承転結のような関係でわかりやすくなったり、わかりにくくなったりもします。わかりやすい文章というのは、前後の文章の関係やテーマの論理に破綻がなく、結果的にそれなりの「構造化した書類」になっています。したがって、わかりやすい文章を書くことは、最終的には「構造化した書類」を作成することにつながっていたりします。パソコン版Wordにはアウトラインモードという文章の構造を視覚化した機能があるのも、作成中の文書をわかりやすく編集するための機能にほかなりません。

さて、そうはいってもWord以外のワープロを使っていたりすることもあります。アウトラインモードがあるワープロはまだ限られているので、ワープロで作成した書類を「構造化した書類」の視点で見直すには、いろいろと工夫をしなければなりません。もっとも簡単なのが、Wordと互換性のあるワープロを使って、Wordが使える環境ではWordに変換して読み込むことです(別に私はWordの宣伝をしているわけではありませんが…)。アウトラインモードが使えるかどうか、こう考えるとWordと互換性がある、というのはワープロを選ぶときの重要なポイントになるのですが、話がPDFから離れていってしまうので、それはまた別の機会に。

 

とりあえず、PDFの話に戻しますが、PDFといえば、やはり印刷物と関係が深いわけです。印刷できる書類であればPDFに変換することはできるといってよいでしょう。さらに書類がすでに印刷物になっている場合も、スキャナーで読み込んで新たにPDFファイルを作成することもできます。これらのPDFファイルはいわば印刷イメージですから、文章をアウトラインで整理したり、見出しや本文を整理して構造化するという話から一番遠いところにある感じもします。同じ電子書籍でくくられることの多いEPUBとPDFは、書類を作るワークフローから考えると対局にある書類といってもよいでしょう。

そこで、PDFはアウトラインで整理したり、そもそもメタ編集に向かないのかと、実は長年思っていたのですが、PDFと相性のよいiPhoneiPadでさまざまなPDF閲覧・編集ツールを使っているうちに、PDFにはPDFなりのメタ編集のワークフローがあることに気づきました。 当初のPDFは校正用でしたから、紙の代わりにPDFを使っているに過ぎませんでしたが、校正の枠を超えてPDFを紙の代わりに使っているうちに、PDFを参考したり引用したりすることもあります。場合によってはPDFに注釈をつける範囲にとどまらず、あるPDF元に新たに要約を作ったり書類を作ったりする機会も増えてきました。こんな時に閲覧はPDF、要約を作るのはワープロと2つのアプリを使うよりも、PDF編集アプリで白紙から書類を作成できると便利です。このときにPDFはもはや閲覧用ではなく、注釈やコメントも元の書類に対する付け足しではなくなります。

 

たとえば、こんな感じです。左が元となるコンテンツをスキャンしたPDF。右がこのテキストから作られるノートです。作業の内訳はこんな感じ。

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①まず上のコンテンツをスキャナーなどでPDF編集アプリに読み込んで注釈を入れる。

②次に下の白紙のテンプレートPDF にコンテンツのアウトラインを書いていく。

③この時に #GoodNotes のような PDF編集アプリ なら、元のコンテンツの注釈や図版がコピペできて便利。

④さらにアプリの中で画面分割できると尚良いが、今これができるのは #Notability だけか。

 

と、まあ、これが新しいPDFのメタ編集作業です。

実際のところ元のコンテンツを読み込んで重要な個所にラインマーカーで下線を引いて、それを白紙のノートの上に自分のアウトラインとして再構成して、必要な文字や画像をスクラップしているだけなのですが、こういった手書きや軽作業をデジタル化するツールは、これまで紙の上以外ではありそうでなかった。逆にいえば、PDF編集は紙の代わりに使えるということになります。

これまで手書きも使えて、こんなに打てば響くようなツールはちょっとなかったと思います。PDFの使い方は人それぞれですが、紙でなくデジタルですから、持ち運ぶときにかさ張らないし、コピーができて必要なら何枚でも印刷できる、というところが万人向けの利点です。

 

ということで、以下のiPad読本の下巻はPDF編でして、下巻が目指しているのはこんな感じのお話のまとめになります。
● 『iPadをパソコンみたいに使うときに読む本・上  キーボード・ファイル管理編

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PDF編集アプリ:今PDFアプリで最先端を行っているのはNotability8.0ではないか。

さて。メタ編集ツールであるPDF編集アプリの話です。

元々このジャンルのアプリでできることといえばPDFファイルの閲覧でした。今もPDFといえば書類を閲覧するのが主な用途ですが、注釈やコメントを付けるといっても、それは閲覧のついでであり、厳密にはPDFそのものを編集するわけでも何でもありません。

それというのも、印刷業界などで利用されることが多かったPDFファイルは、すでに印刷物になる一歩手前、または印刷物をスキャンした、つまり書類として完成したものが多かったので、ワープロやページレイアウトアプリのように、PDF編集アプリで一から書類を作る必要はありませんでした。

 

そのアプリの用途がPDF閲覧から、曲がりなりにも「PDF編集」などと呼ばれるようになったのは、元の印刷物につける注釈やコメントの中身(またはアプリの機能)が向上して、PDFを編集する機会と量が増えたからでしょう。PDF編集アプリの登場で、注釈やコメントが元の書類から一人歩きするようになってきたわけです。

 

そもそも印刷物の校正作業は、その印刷物の内容に修正する個所がないかしたり確認するためであり、PDFには注釈やコメントが印刷物を校正するためにつけられます。一方、ワープロで作成した書類を持ち歩くためにPDFにした場合は、PDFから新しいアイディアが生まれれば、そこから書類を書き直したりすることも多々あります。

そんな印刷物の校正以外でもPDF利用される機会が増えてきたのは、いつからということになれば、やはりスマフォやタブレットが使われるようになってからといえるでしょう。

 

今でこそ、WordやExcelを使えるiPadですが、当初はこれらの書類を持ち歩くために、閲覧用にPDFに変換して、iPadにコピーされるだけでした。だから利用されるアプリもPDFを閲覧したり、閲覧の際に注釈やコメントが付けられればよいくらいであり、iPad用のPDF閲覧アプリはどんぐりの背比べみたいでした。それでも、PDF閲覧アプリも、iOSがアップデートされていくに連れ、iOSだけでPDFが作成できたり、iPadiCloud Driveの中のファイル管理できるようになっていくに連れても、いろいろと多機能になり利便性が増していました。

 

中でも、iPadでPDFを閲覧するときに便利なのが、画面を分割できる機能です。それまで大きなiPhone扱いであったiPadでPDFを見る利点は、ほぼその画面の大きさだけでしたが、iPad Proの登場と共に画面を分割できる機能が利用できるようになると、タブレットで書類を閲覧する作業の意味が違ってきます。

 

ただ画面分割できるだけで、何をそんなに大騒ぎしているのだと思われるかもしれませんが、iPadで画面分割ができなかった頃は、画面に表示できるのは1つのアプリだけでしたから、閲覧用のアプリを使っているときは閲覧だけしかできません。もしくは閲覧しながら注釈やコメントを付けるくらいしかできませんでした。それが画面分割ができるようになると、閲覧する画面とは別のもう1つの画面で別のアプリを表示することができます。すると単に注釈やコメントを付けるだけでなく、ブラウザを起動してネット接続して内容チェックができます。また、PDFを作成したワープロやエディタなどを起動して、注釈やコメントを付けるだけでなく、元の原稿を修正することもできるかもしれません。もう1つの画面に別のアプリを起動できるようになったので、単にPDFを閲覧するだけのアプリではなく、多機能で便利なPDF編集アプリの登場が待たれます。

 

そんなアプリとして、私が今一番紹介したいのは、最新版が登場したばかりの「Notability8.0」です。2018年に発売されたiPadでは、ついにiPad ProでなくてもApple Pencilが利用できるようになっただけでなく、画面分割もできるようになったのですが、iOS11で画面分割をするには、もう1つ別のPDFアプリを起動しなければなりません。また画面分割して閲覧するPDFも、別のアプリに共有するなどして、複製を作らないといけないのですが、Notability ならば1つのアプリの中で画面分割して、片方で閲覧、もう一方でPDFで作業ができます。

 

こんな感じで、『iPadをパソコンみたいに使うときに読む本・上  キーボード・ファイル管理編』(私的には iPad読本 )の下巻では、iPadでPDFファイルをどう利用するか、という話になる予定です。


● 『iPadをパソコンみたいに使うときに読む本・上  キーボード・ファイル管理編

 

 

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PDF編集アプリ:PDF作業を「メタ編集」と呼ぶことにした。

週末は『iPadをパソコンみたいに使うときに読む本・上  キーボード・ファイル管理編』(私的には iPad読本 )の下巻の原稿を整理しています。下巻はiPadでPDFファイルをどう利用するか、という話になる予定です。


● 『iPadをパソコンみたいに使うときに読む本・上  キーボード・ファイル管理編

 

PDFファイルは一般には閲覧用の書類だと考えられていますが、それは主に印刷物のデータを作成する過程で校正作業に、その注釈が重宝されているからなのでしょう。PDFファイルの注釈は元の書類のコメントなどではありますが、その書き込みは元の書類に対するものであるだけでなく、新しいアイディアのメモ書きだったりします。

とりあえず、新しいアイディアを生み出すということで、PDFの注釈は単に元の書類を校正して直すだけでなく、これまでのワープロやエディタで行なっていた書類の編集とは別な編集作業という感じがします。

 

単にPDFを閲覧したり注釈を付けるだけなら、PDF編集アプリなんかどれでも同じと思われるかもしれませんが、どのツールを使うかで、得られるものがかなり違う。それというのも、PDFファイルは複数のページからなる書類であり、ページ単位で閲覧でき、個々のページの中に段落と本文で構成された文章があるという、メタ構造なのだから当然なのかもしれません。

すでにあるPDFから新しいアイディアを得ることができる編集作業(この作業を「メタ編集」などと名付けてみました)に気づくと、iPadiPhoneには数多くのPDF編集アプリがあることにも合点がいきます。

 

アウトライナー好きな私としては、アウトラインプロセッサの方面にもPDF編集アプリは進んでいってほしいと思いますが、元が印刷イメージであり、ビュジュアル全盛の昨今ですから、そういうのはもう少し先の話になるのかもしれません。今は、まずはPDFの注釈をどうするか。KJ法的な観点で考えるときのようです。

 

iPad読本 下巻の方向はそんな感じです。

 

KDP2018:6月1日は『iPadをパソコンみたいに使うときに読む本』の無料キャンペーン

このブログではiPadについて書いていますが、書き始めたきっかけとなったのは、はじめてiPad 2を使った時に感じた「あれ?」という違和感が発端になっています。その後も「あれ?」と思うたびにはてなブログの前に使っていたブログなどに書き留めていましたが、やはり好きな時に書くというブログでは、根気のない自分は情報が断片的になりがちなので、それでは書籍にまとめてみようと思ったのが数年前。そしてようやく『iPadをパソコンみたいに使うときに読む本・上  キーボード・ファイル管理編』という形で、AmazonのKDP(Kindle Direct Publishing)を使って刊行しました。


● 『iPadをパソコンみたいに使うときに読む本・上  キーボード・ファイル管理編』

iPadで感じた違和感は iPad 2の頃からの長丁場な話で、まずはキーボードのないiPadで文字を入力する時に感じた違和感が話の発端になっています。そこで、iPad Proに至るところをキーボード編、そしてiOS 11で標準になった「ファイル」アプリの登場がこれからのiPadの使い方を変えると思ったので、それをファイル管理編として、ここまでをひと区切りにして今回は上巻としてまとめました。


実はiOSの独特のファイル管理も当初は違和感のひとつだったのですが、「ファイル」アプリの登場でそれは過去のものになってしまいました。つまり「キーボード・ファイル管理」という iOS 11までの道のりも、今後は過去の話になるのでしょう。

そういう意味では次のiOSに合わせて本書を書き直すとしたら、スタート点はiOS11からになるのではないかと思います。私の違和感は新しくiPadiPhoneを使い始めた人には関係のない話になるわけで、iPadiPhoneは残酷ではありますが、そういう道具なのです。なお、上巻としたのは、iPadをパソコンのように使いたい、と思うと印刷とPDF利用は避けて通れないので、それらを下巻として 2018年発売のiPadを念頭にまとめようと思っています。

さて、本書は電子書籍で出版しましたが、その過程でいくつか発見がありました。まず、制作段階では数年前と比べて、ワープロMicrosoft Wordが使えれば、Romancer などのサービスを利用することで縦書きの電子書籍が容易に作成できること。株式会社ボイジャー のRomancer には以前の電子書籍制作と比べ圧倒的な技術革新を感じましたが、さらにKDPの販売の仕方でも数年前との違いを感じました。


● KDP2018:Wordから電子書籍を作成する・2018Q1版 (当ブログ記事)

shimuran.hatenablog.com

KDPの販売の仕方が変わったと感じたのが「 Kindle Unlimited (KU) および Kindle オーナー ライブラリー (KOL) 」への追加です。最初は KU/KOL って何だろうって思いましたが、KUというのはKindle Unlimited の略で月980円でKindle作品を読み放題で利用できる読者サービスです。類似のサービスに Prime ReadingというAmazonプライムに含まれるものがありますが、読むことができる本の数が全然違うのが有料読者サービスたるところです。


KDPは読者ではなく作者側のサービスですが、電子書籍をKDPで販売する時に「KDP セレクト」という制度に電子書籍を登録することができます。登録にあたっては価格設定やKindle独占販売など条件がありますが、KDPに登録すると印税が優遇されたり本を販促するために本の無料キャンペーン (期間限定で世界中の読者に本を無料配布) を実施したりできます。
電子書籍をより多くの読者に知ってもらうことは、より多く本を販売できる機会につながるわけですが、以前のKDPの販促というと、この無料キャンペーンをうまく使って、多数の刊行物の中で作品の存在感を示すくらいでした。そこに追加されたのが、KU または KOL の読者がその本を読んだページ数に基づいて、KDP セレクト グローバル基金から分配金を作者が受け取るということができるようになりました。


最初はこの新しい仕組みがよくわからず、無事出版にたどり着いた私は「さて無料キャンペーンをいつにしようか」などとと考えていたのですが、なんと出版しただけで、販売初日にしてその数が軽く100回を超えていたことに驚きました。次の日は数百回と新刊本のビキナーズラックとはいえ、何もしないのにアクセス数が増えていったことに驚きました。正確には、このアクセス数は「KENP (Kindle Edition Normalized Pages)」という読者が読んだページ数を表していて、前述のようにこれも基づいて収入になります。

 

電子書籍の売上の基本は、やはり販売数に基づく印税だと思いますが、それにはレビューに高評価のレビューを書いてもらう、何よりもたくさんの読者の目に触れるようにSEOを駆使する、というのが従来の電子書籍の販促方法でした。電子書籍の作者は、実はこの辺りが苦手で、まずは本の中身だろう、などと考えておざなりになりがちです。そこで販売数が伸びないという悪循環に陥って挫折してしまうのではないかと思います。

ところが、何もしなくても読者が手に取ってくれる「KUおよびKOLへの追加」という仕組みはちょっと新しい感じがします。SEOが苦手な作者は読者が手に取ってくれるように電子書籍の内容を磨くことに専念すればよいのです。内容が良くないとページ数が伸びないからです。紙の書籍や購入した電子書籍と違って、Kindle Unlimitedなどは同時にライブラリに登録できる冊数に制限があるので積読できないので、読まれなかったら他の電子書籍と交換されてそれまでです。ただし、内容が良ければKENPは伸び、ライブラリへの登録数に制限がない一般として購入されれば販売数(さらには作者の印税)につながります。

 

電子書籍が売れる売れないというのはいろいろなところで語られていますが、KDPに関しては「KUおよびKOLへの追加」が加わったことで、もう少しコンテンツの中身と関わった形で電子書籍が売れるか売れないという話になってくるように思います。電子書籍の評価のしかたが、以前と変わってくるのではないかという気がします。

 

ということで、Kindle Unlimitedなどは読者の方にお任せするしかないわけですが、KUおよびKOLに加入されていない一般読者の方に向けて、2018年6月1日に無料キャンペーンを開始することにしました。実施日は 6/1 ですが、キャンペーンの開始時刻と終了時刻は太平洋標準時 (PST) が基準になっているので、日本時間では、17:00 に開始し、終了日翌日の 16:59 に終了するそうです(PSTの 0:00 に開始し、終了日の 23:59 に終了。また、夏時間の期間中は、開始時刻と終了時刻が 1 時間繰り上げられます)。

iPadキーボード主義者: 画面分割できるiPadはすべてApple Pencil対応になりましたが。

今ではあちこちの店頭にも並ぶようになった2018年版 iPad。私は iPad Pro に対して iPad New などと呼んでいます。それ以前の機種は 無印のiPadiPad Air/Air2などと呼んで区別していますが、まあ Air(我が家の #Netflix 端末)以前のiPadは画面分割ができないことから、だんだんと #iPadPro か #iPadNew のどちらかということになっていくのでしょう。

そういえば、Appleが細かいことは気にするな、毎年「新しいiPad」と呼ばせよう作戦を時期尚早に展開して失敗してから久しく、AirやらProやら改良型iPadが多数登場してきたわけですが、この第6世代 iPadの登場で、久々にスッキリしたラインナップになったのではないでしょうか。新しいiPadは性能的には初代iPad Pro(私の主力機)相当といわれています。最近、整備品がこれでもかこれでもかと登場している改良版iPad Proも、性能面では負けてないので Proの名前は見劣りしないわけです。

ただし、実際はiPadの性能差などわかる人にしかわからなかったりします。ある日気づいたらメモ帳が重いって感じくらいではないでしょうか。この変わらなさがタブレット全体の販売不振の理由の1つだとされて、毎年新機種に買い換えないiPadは失敗作などと一時期はネットに書かれたりしました。売れてないといっても、それは化物みたいなiPhoneと比較しての話ですし、名指しで購入するタブレットといったらやはりiPadしかないのではないかと思いますが。

iPadは失敗作と思った人たちもそれなりにiPadを利用していた人なはずなので、たぶんiPadを「大きなiPhone」だと思っていたに違いありません。だから大きくてズボンの後ろのポケットにも入らないiPadは邪魔で使えないデバイスでしかなかったのでしょう。そして月日は流れ、笑っちゃうほどバカでかいiPad Proがすべてを変えてしまった、笑(いやはや、最初にiPad Proを見た時に本当に私は吹き出しましたから)。

そして、大きなiPad Proは、iPhoneと違って Smart KeyboardやらApple Pencilを使うという新しい種を蒔いたのですね。まあ、これを技術革新というかどうかわかりませんが、iPhone Xとは別の種を蒔きました。今回の新しいiPadも新しい種なのか、それともそのための肥料なのか(おいおい…)

この新しいiPadの登場で、画面分割(Split Viewの方)ができるiPadはすべて Apple Pencilに対応していることになりました。またもや時代が変わってしまった感じ。

もはや、Apple Pencilが使えるかどうかが、iPad Pro と iPad違いではなくなってしまいました。「その違いは…キーボードです」、なんていってよいものかどうかわかりませんが、新しいiPadには「Smart Connector」という3極の磁石式の端子がありません。

ただし、これがそのままキーボードが使いにくいとかにはならなくて、iPad Pro と iPadのどちらもキーボードは使えます。今は我が家の #Netflix 端末となった Airで、iPad Pro以前はバリバリBluetoothキーボードケースを使っていた #iPadキーボード主義者 である私としては、そんな大きな違いではないなあ、と思ってしまいます。

でも、そうはいっても充電しなくていい、電波探さなくてもくっつければいいだけのSmart Connectorから、新しいiPadBluetoothキーボードケースに戻れるかどうかは今のところ不明です。

Appleはキーボード使うなら iPad Proという感じで、こんな魅力的な紹介をしています。Bluetoothキーボードを使う人は好きにやってねって感じ。まあ自社製品か否かですから当然なのかもしれませんが。

support.apple.com

 

とりあえず、新しいiPadが前回の WWDC2018:「iPadの普及は学校から」には Chromebookの影が見える。 - shimuran's blog  で危惧したような「iPadPerformer」ということではなかったのが喜ばしい限りです。さらにApple PencilがApple Pencilのままだったというのも良かった、良かった。ふと思うんですが、Apple Pencilも含めて「iPad Performer」になったとしたら、たぶん次の10年は別のものになったかなって思います。Apple Pencilがそのままだったから、iPad Newの中身が初代iPad Proだったからこそ、WWDC2018が楽しみであり、次の10年があるのだと思います。

 

そうなると、今のところ新しいiPadの魅力は値段だけということになってしまいますが、「iPadは電子の紙かもしれない」と思いはじめている自分にとって、手頃な値段は重要です。私もちょうどAirの代わりになる小型(miniでなく)のiPadがほしかったところです。でも、iPad Pro にするか iPad New にするか正直なところ、まだ決めていません。

私は、絵は描かないけれど、Apple Pencil推進派です。だからこれまでなら iPad Proの一択でしたが、新しいiPadの登場でiPadのラインアップがほぼApple Pencil対応になったわけで、もうiPad Newで良くなってしまったわけです。まあ、WWDC2018辺りでどういう話が出てくるかわからないので、今は何ともいえませんが。

ただし、本体が安くなった分 Apple Pencilの値段がそのままなので、おもしろい価格設定になったと思います。

ちなみに自分が新しいiPadを購入する時のために試算をしてみました。

 

新しいiPadには32GBと128GBしかないのですが、たしかに32GBは 37,800円 (税別)〜と安い。これだと税別¥10,800 のApple Pencilは本体の四分の一の価格になるのでバランス悪く感じますが、これはWi-Fiモデル。はたしてこの購買層はApple Pencilまで手を伸ばすでしょうか(いやいや家置きのお絵描きタブレットとして使うのならWi-Fiモデル一択かな)。

そこで同性能のWi-Fi + Cellularモデルは¥52,800。Wi-Fiモデルとはかなり値段が違い、割安感がなくなった分、Apple Pencilが馴染んでくる感じ。ここが意見の別れるところかもしれませんが、家置きでなく持ち歩いて仕事に使うのならやはりWi-Fi + Cellularモデルが便利だと思います。

 

ちなみに携帯電話ショップでは24回分割で割引後が月300〜432円(432円はドコモショップ)円。ドコモショップの場合はこれに通信契約費が月当たり2500円だから合わせて2年契約で70,368円。まあ金利なしだけど通信契約費を分割購入の手数料の代わりと考えると、¥52,800を一括購入した場合と比べ総額で約3割増という感じ。

一方Apple Store経由でオリコで24回分割で購入すると利息(12回までは金利なし)を入れて総額 55,593円。これは金利で0.5割増。やはり安い、とは思うのですが、これには通信料が含まれていない。もっともそれは実はドコモも同じで2,500円というのは他の回線をシェアした場合に通信費がかからない計算です(iPadを2台目として使い、シェアしている元の回線の内ならは通信費はかからないが上限がある)。

実はここが重要なポイントなのですが、どちらで購入するにしても、電話番号はどうでもよいiPadならば、格安SIMとの組み合わせで使うのです。つまり、ドコモショップで買う利点は、実は格安SIM選び放題というところにあるのです。まあdocomoWi-Fiも使えるのでそれなりに便利ではありますが。

ちなみにApple Storeで販売しているiPadSIMフリーなので、どこのキャリア系の格安SIMでも使えます。Apple Storeドコモショップの差額を24分割すると約616円が格安SIMの上限となるけれど、これはあくまでも計算しただけの上限です。さらに使いたい場合はドコモの分割を超えることになりますが、実際のところ格安SIMなら試算の上限を超えても大容量を安く使えます。

同様の計算を128GBですると、Apple Store経由でオリコで24回分割で購入すると総額 67,175円。ドコモショップは432円が918円になるだけなので、82,032円。差額を24分割すると約616円になり、これが格安SIMの上限になるけど、Apple Storeドコモショップの差は32GBとあまり変わらない。

格安SIMを大容量にすると、どちらも総額はそれなりに上がるけれど、24回分割にするとそんなに負担にならない。一括で買うのもよいですが、毎日使うものだから分割で賢く使うのもいいのでは、なんて思ったりもします。結論としては、SIMフリーでない点を除けば、キャリアのWi-Fi + Cellularモデルはそんなに割高ではない、と私は思います。まあシェアでは割高につくので、ドコモで購入してもApple Storeで買うにしてもiPadには格安SIMを使ったほうがよいと思います。

 

ということで、うーむ。またつまらぬ計算をしてしまった。