KDP2018:Wordから電子書籍を作成する・2018Q1版
iOS 11にファイルアプリが載ってからいろいろ忙しい。これまでGood Reader + PDF 中心でお茶を濁していたiPad利用が、ここへ来て俄然とパソコンっぽくなってきた。
おかげで、iOS は単純なのが取り柄で余計なことができないだけに、iPadで仕事をしているか、ただiPadに向かっているかがよりはっきりするようになった。
でも、こういうところがタブレットの良いところだと思う。ただ向かっているだけでは「仕事しないでネットでもしているんでしょ?(自分の内なる声)」ということ。
それにパソコンっぽく仕事ができるのなら、もうPDFに頼らないで、WordやPagesで直接仕事しようよ、ということになるかと思ったら、そこはiOS なのでファイルを共有しないと印刷もままならない。やはり共有するならPDF。
これまではPDFはカーボンコピーだからということで、不便とは思いつつPDFに書き出しては手書きメモを付けていた。もはや iPadは最高のPDF利用マシンだなぁって思っていたくらい。
でもiPad版のWordを見た時は、Wordの書類に直接手書きメモが付けられるなら、PDFの作業は不便になるのではないか、とも一時は思ったけど、やはり、オリジナルに付けるコメントとPDF(コピー)に付けるコピーは目的が違った。
さらにiPad版のWordの手書きメモは、Wordのグラフィックなので、PDFと完全には互換性がない。この辺は完全には印刷できないということにも繋がるかも。
いうならば、GoodNotes 、Notes Plusの使い勝手はiPad版のWordに似ている、と思う。オリジナル指向なんだと思う。メモ段階で終わるのであれば、手書きメモ付きのPDFもオリジナル。ただし、WordやPagesで編集作業をしていると、それは編集や推敲のひとつの段階であって、PDFはメモ以外の何者でもない。
最終段階のWordやPages書類はPDFと等価であるとは思うけど、とりあえず、カーボンコピーであるPDF用には、PDF Viewerがよいと思う。GoodNotes 、Notes Plusのように手書きの書き味がどうこういうのでなければ、これで十分。それだけでなく、手書きのコメントが付箋のようにコピペしたり色を変更したりできる。これはカーボンコピーであるPDFには本当に便利。
おまけにいっておくと、iOS 11のメモは便利だけどカーボンコピー、オリジナルどちらのPDFにも向かない。PDFに対してQuickDrawみたいなレベル。Apple Pencil を使っても精度も低ければ、互換性もない。Appleは手書きツールやPDFツールはサードパーティに任せたんだろうね。
さて、そんなPDF最高のところに、懸案の原稿がそろそろ完成するので、これをKDPに登録するのに ePUBを作らなければならなくなった。
macOSやiOS 11では、PDFに変換するのに印刷機能を使うので、アプリはほぼ何でも構わない。iOSでは印刷コマンドというよりも、仮想プリンタの「PDFプリンタ」にファイルを共有すればよい。PDF作成にアプリが縛られないのはありがたいことで、iOSにあんなに多くのPDFツールがあるのも頷けるが、別に何だってPDFになるのだ。
自分は、原稿書きだけでなく、執筆の目安となるアウトラインと編集者とやり取りするコメント機能が便利に使えるということで、Wordとそれと互換性のあるPages を使っている。どちらもPDFに書き出すなら手間は掛からないが、ePUBを作るとなるとWordからはePUBは書き出せないし、Pagesは縦書きのePUBが作成できない、というか縦書きそのものができない。
KDP用には縦書きに対応したePUB作成が必要なのだが、できればファイル変換だけで済ましたい。XMLとかそういうのに触れたくないというわけでもないが、KDPで重要なのは論理が一貫した誤字脱字のない文章だと思っているので、できるだけWordとPagesから離れない方が無難だと思う。だからWordからKDP用ePUBが作成できないものかと調べてみた(PagesはWordファイルを編集できるし、レイアウト前にWordに書き出すので、その手軽さが手放せないだけ)。
先にWordからはePUBは書き出せないと書いたが、事前に調べた情報では、KDP用のePUBを書き出すサービスではdoc形式またはdocx形式を受け付けているので、あとはどのようなWord書類を作ればよいのか、作ってはいけないかがわかればいい。これ以外に、でんでんコンバーターのようにテキストファイルからePUBに変換するツールもあるのだが、先にも言ったように最後の最後までWord(またはPages)の書類で編集したいので、今回は見送った。
さて、以上の事柄を事前に調べていて気づいたことなのだが、Googleで検索してもAmazonでKindle書籍を調べても2015年以降の情報がなぜか少ない。いやそれ以前の古い情報が多過ぎる。まあ、Google検索は自己責任だとしても、Kindle書籍は賞味期限切れなわけだから、そんな電子書籍が数多くあってもどのくらいの価値があるのだろう。電子書籍が振るわないとか、紙の出版物ももうだめだととか、出版不況にもいろいろあるけど、少なくとも電子書籍ならではの鮮度という利点を活かしてない、電子書籍は問題なのではないだろうか(まあ2015年よりも前は電子書籍の数が少なかったので、枯れ木も山の賑わいだったとしても、そろそろ剪定はさみを使う時期だと思うのだけど)。
そんな自分も2013年くらいに一度KDPの準備をしていてEIN番号の取得もした人間なので(今はEIN番号は必要ないし、日本国内の銀行で決済ができるようになっている)、電子書籍の製作や会計に関して調べるのは2度目。だから状況がかなり変わっているのに驚いたのだけど、その辺を横断的に解説している情報が少ない。
「恋も二度目なら 少しは器用に甘いささやきに 応えたい」わけだが、これが初めて電子書籍に取り組んでいる人たちには検索してもちんぷんかんぷんなのではないだろうか(もはや後述するKDPのサイトだけで十分で、あとは実践あるのみということですね)。
手続きが変わったというのは時系列に追っかけていけば見えてくるのだが、Wordだけでどこまでできるかが、新旧の情報が入り乱れていてわかりにくい。まあ、電子書籍に関しては、とりあえずできるできないもノウハウのうちではあるので、そこが売りなのだろうけど、そこが微妙にわかりにくい。実際のところ99円でも250円でも使えない情報にお金を払うのはもったいない。
さて。このKDP情報に明らかな断絶があるのはなぜだろうかと思って調べてみたら、2014年年末にKDPがWordからKDP用ePUB作成の情報公開を行なっており、「KDP へようこそ」というサイトができている。
●KDP へようこそ
また、KDP NEWS Vol. 2が2015年7月10日に発行されている。
●KDP NEWS Vol. 2
さらにVoyager社がRomancerというePUBを書き出すサービスを同時期にリニューアルしている。
●本の書かれ方・読まれ方・作られ方が変わり、やがて社会が電子書籍に追いついてくる~ボイジャー 社長 鎌田純子氏
ということで、この辺りを境にKDPの電子書籍の製作は大きく変わり、今では電子書籍は企画で勝負になったと言ってもよいのではないだろうか。
P.S
ここまでひさしぶりに NeOの力を借りて書きました。いやはや WordやPagesばかり使っているとNeOの複雑なショートカットを忘れてしまい、最初は二の足を踏んだけど、さすがはNeO。私のこんがらがった日々を整理してくれたのでした。
そして気づいたのは、NeOのリハビリ中はショートカットでなくてもツールバーのアイコンでも何とかなるということ。
あー、NeOがiPadでも使えたらいいな、と思いながらも、この重作業はMacの仕事なのだなと思いながらのNeOでした。当然、最後はWord書類(なぜかdoc形式のみ)に書き出してPagesで剪定しました m(__)m