KDP2018:6月1日は『iPadをパソコンみたいに使うときに読む本』の無料キャンペーン

このブログではiPadについて書いていますが、書き始めたきっかけとなったのは、はじめてiPad 2を使った時に感じた「あれ?」という違和感が発端になっています。その後も「あれ?」と思うたびにはてなブログの前に使っていたブログなどに書き留めていましたが、やはり好きな時に書くというブログでは、根気のない自分は情報が断片的になりがちなので、それでは書籍にまとめてみようと思ったのが数年前。そしてようやく『iPadをパソコンみたいに使うときに読む本・上  キーボード・ファイル管理編』という形で、AmazonのKDP(Kindle Direct Publishing)を使って刊行しました。


● 『iPadをパソコンみたいに使うときに読む本・上  キーボード・ファイル管理編』

iPadで感じた違和感は iPad 2の頃からの長丁場な話で、まずはキーボードのないiPadで文字を入力する時に感じた違和感が話の発端になっています。そこで、iPad Proに至るところをキーボード編、そしてiOS 11で標準になった「ファイル」アプリの登場がこれからのiPadの使い方を変えると思ったので、それをファイル管理編として、ここまでをひと区切りにして今回は上巻としてまとめました。


実はiOSの独特のファイル管理も当初は違和感のひとつだったのですが、「ファイル」アプリの登場でそれは過去のものになってしまいました。つまり「キーボード・ファイル管理」という iOS 11までの道のりも、今後は過去の話になるのでしょう。

そういう意味では次のiOSに合わせて本書を書き直すとしたら、スタート点はiOS11からになるのではないかと思います。私の違和感は新しくiPadiPhoneを使い始めた人には関係のない話になるわけで、iPadiPhoneは残酷ではありますが、そういう道具なのです。なお、上巻としたのは、iPadをパソコンのように使いたい、と思うと印刷とPDF利用は避けて通れないので、それらを下巻として 2018年発売のiPadを念頭にまとめようと思っています。

さて、本書は電子書籍で出版しましたが、その過程でいくつか発見がありました。まず、制作段階では数年前と比べて、ワープロMicrosoft Wordが使えれば、Romancer などのサービスを利用することで縦書きの電子書籍が容易に作成できること。株式会社ボイジャー のRomancer には以前の電子書籍制作と比べ圧倒的な技術革新を感じましたが、さらにKDPの販売の仕方でも数年前との違いを感じました。


● KDP2018:Wordから電子書籍を作成する・2018Q1版 (当ブログ記事)

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KDPの販売の仕方が変わったと感じたのが「 Kindle Unlimited (KU) および Kindle オーナー ライブラリー (KOL) 」への追加です。最初は KU/KOL って何だろうって思いましたが、KUというのはKindle Unlimited の略で月980円でKindle作品を読み放題で利用できる読者サービスです。類似のサービスに Prime ReadingというAmazonプライムに含まれるものがありますが、読むことができる本の数が全然違うのが有料読者サービスたるところです。


KDPは読者ではなく作者側のサービスですが、電子書籍をKDPで販売する時に「KDP セレクト」という制度に電子書籍を登録することができます。登録にあたっては価格設定やKindle独占販売など条件がありますが、KDPに登録すると印税が優遇されたり本を販促するために本の無料キャンペーン (期間限定で世界中の読者に本を無料配布) を実施したりできます。
電子書籍をより多くの読者に知ってもらうことは、より多く本を販売できる機会につながるわけですが、以前のKDPの販促というと、この無料キャンペーンをうまく使って、多数の刊行物の中で作品の存在感を示すくらいでした。そこに追加されたのが、KU または KOL の読者がその本を読んだページ数に基づいて、KDP セレクト グローバル基金から分配金を作者が受け取るということができるようになりました。


最初はこの新しい仕組みがよくわからず、無事出版にたどり着いた私は「さて無料キャンペーンをいつにしようか」などとと考えていたのですが、なんと出版しただけで、販売初日にしてその数が軽く100回を超えていたことに驚きました。次の日は数百回と新刊本のビキナーズラックとはいえ、何もしないのにアクセス数が増えていったことに驚きました。正確には、このアクセス数は「KENP (Kindle Edition Normalized Pages)」という読者が読んだページ数を表していて、前述のようにこれも基づいて収入になります。

 

電子書籍の売上の基本は、やはり販売数に基づく印税だと思いますが、それにはレビューに高評価のレビューを書いてもらう、何よりもたくさんの読者の目に触れるようにSEOを駆使する、というのが従来の電子書籍の販促方法でした。電子書籍の作者は、実はこの辺りが苦手で、まずは本の中身だろう、などと考えておざなりになりがちです。そこで販売数が伸びないという悪循環に陥って挫折してしまうのではないかと思います。

ところが、何もしなくても読者が手に取ってくれる「KUおよびKOLへの追加」という仕組みはちょっと新しい感じがします。SEOが苦手な作者は読者が手に取ってくれるように電子書籍の内容を磨くことに専念すればよいのです。内容が良くないとページ数が伸びないからです。紙の書籍や購入した電子書籍と違って、Kindle Unlimitedなどは同時にライブラリに登録できる冊数に制限があるので積読できないので、読まれなかったら他の電子書籍と交換されてそれまでです。ただし、内容が良ければKENPは伸び、ライブラリへの登録数に制限がない一般として購入されれば販売数(さらには作者の印税)につながります。

 

電子書籍が売れる売れないというのはいろいろなところで語られていますが、KDPに関しては「KUおよびKOLへの追加」が加わったことで、もう少しコンテンツの中身と関わった形で電子書籍が売れるか売れないという話になってくるように思います。電子書籍の評価のしかたが、以前と変わってくるのではないかという気がします。

 

ということで、Kindle Unlimitedなどは読者の方にお任せするしかないわけですが、KUおよびKOLに加入されていない一般読者の方に向けて、2018年6月1日に無料キャンペーンを開始することにしました。実施日は 6/1 ですが、キャンペーンの開始時刻と終了時刻は太平洋標準時 (PST) が基準になっているので、日本時間では、17:00 に開始し、終了日翌日の 16:59 に終了するそうです(PSTの 0:00 に開始し、終了日の 23:59 に終了。また、夏時間の期間中は、開始時刻と終了時刻が 1 時間繰り上げられます)。